
空調ダクトは冷暖房用の空調機器からの風を循環させることで温度や湿度、清浄度を保つ換気設備です。
病院や老健施設、オフィスや商業施設などで使用され、私たちの暮らしに密着した空調設備と同じようなものです。風を送りたい場所に吹き出しファンを設置しますが、空調配管の距離が長い場合は途中に吸い込みファンを設置するなど、現場の状態やお客様のご要望に合わせて設計する必要があります。
正常に稼働するだけではなく、修理・修繕のことも考慮し、修理やメンテナンスがやりやすく効率的な設置場所の確保や、衛生面への配慮をおこなうことも長く快適な空間を保つポイントとなります。

最近の住宅は24時間換気機能も当たり前に付いており、料理する際はニオイや油汚れ、湿気がこもらないよう厨房の換気扇を活用する方も多いでしょう。
換気ダクトはまさにこの役を担っており、室内の空気を外気と入れ替えることができます。
「換気ダクト」という名称ですが、吐き出すだけでは内部が空気不足となってしまうため、工事の際は給気口も設置されます。この際、排出した空気が再度取り込まないよう緻密に設計していくことが大切です。排気することだけに着目せず、空気の流れが弱くなる箇所にはファンを取り付けるなど全体を見通した配管施工が快適な空間の要です。

快適な空気環境を守るだけでなく、『もしも』に備えるのもダクトの大切な役割です。
排煙ダクトは、排煙設備。火災警報機が熱などを感知すると、排煙用のファンが動き外部へと排煙を排出します。煙を速やかに排出することで避難するための時間を確保し、消火活動をしやすい環境を守るなど火災が発生した際の強い味方です。
排煙ダクトは火災の際に煙を排出することに特化した空調設備であり、ダクト内が高圧なことから高圧ダクトと呼ばれることもあります。
一定以上の建築物であれば、消防法によって設置だけでなく想定通り作動するのかなどをチェックする定期点検も義務付けられています。